アウターとインナーでの同一ギヤ比のパワー差を検証

コンポ・ドライブトレイン
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どうも酢です。

先日、ビッグプーリーを導入した結果、まさかの抵抗増(7W程?)という結果にチェーンテンションに関する認識を改めました。


まさかというか、まぁチェーンをそのまま使ったため、チェーンテンション増→摩擦力増→抵抗増ってのが原因な気がしますが、そのあたりの検証は後でやることにして、チェーンのテンション(というより、アウターとインナーでの同一ギヤ比での)どれくらいの出力差があるのか検証して見ます。

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検証方法

Zwift用バイクはコンパクトクランクに25tのスプロケでギヤ比はこんな感じ。

フロントリアギヤ比フロントギヤギヤ比
50114.5534113.09
124.17122.83
133.85132.62
143.57142.43
153.33152.27
163.13162.13
172.94172.00
192.63191.79
212.38211.62
232.17231.48
252.00251.36

アウターとインナーで一緒(ほぼ)のギヤ比が2つ選べそうです。


ただ、50−25はアウターローなのでたすき掛けによる影響も含んでしまいます。
また、34−13もインナートップ寄りです。


まぁその辺の影響はあるにせよ、同一ギヤ比ならどっちを使えば楽できるのかはわかるはずので先ずはこのギヤ比でやってみます。

cervelo S2はこんな感じ

フロントリアギヤ比フロントギヤギヤ比
50114.5536113.27
124.17123.00
133.85132.77
143.57142.57
153.33152.40
172.94172.12
192.63191.89
212.38211.71
242.08241.50
271.85271.33
301.67301.20

こっちは割とミドル側を使えているので検証には良さそうですが、面倒なのでそのうち。



実験方法は固定ローラーで1分の定速走行を行い、その時の平均パワーを比較することにします。

検証結果

以下が実験結果になります。

フロントリア速度(km/h)ケイデンス(rpm)パワー(W)
5025n=122.991169
n=222.991167
平均22.991168
3417n=122.990162
n=222.890163
平均22.990163
速度(km/h)ケイデンス(rpm)パワー(W)
5019n=129.890187
n=229.890191
平均29.890189
3413n=129.690191
n=229.590188
平均29.690190

結果だけ、簡単にまとめると

  • アウターローはインナーの同一ギヤ比と比べると5W程度増
  • スプロケの中央側であればアウターもインナーも大差無し
  • もちろん測定時のバラつきは考慮する必要有


ということになると思います。
測定時のバラつきは主にペダリングです。同じ速度でも出力に差があるのはペダリング効率の差かと思われます。

考察・結論

考察というほどたいそうなものではないですが、アウターローで抵抗が増すのは事実のようです。


一方で、50-19、34-13では出力差はほとんどありませんでした。(このギヤ比での測定はそもそもバラついてはいますが)


では何故、アウターローだけで抵抗が増えたのか?
これはもう語りつくされている「たすき掛け」が主要因でしょう。


ただ、34-13もたすき掛けよりになっていましたが、50-19と同レベルのパワーとなっていました。(若干34-13のほうが高いか?速度も低いし)チェーンテンションの差をそこまでつけれなかったのかもしれません。11-25でわりとクロスですし。


試行回数が少ないので、検証は必要ですが、インナーのたすき掛けより、アウターのたすき掛けのほうがパワーへの影響が大きいことが予想されます。

これは何故か?


同じたすき掛けなら摩擦力は荷重(この場合チェーンのテンション)に比例するので、チェーンのテンションが高いほうが摩擦力は増加するはずだからです。


とにかく検証数が少ない(何度も言います)のでなんとも言えないところはありますが、

  • アウターローはインナートップのたすき掛けよりパワー損失が大きい(可能性が高い)
  • チェーンテンションが低ければたすき掛けの影響は小さい(可能性が高い)


ということが言えそうです。(ここで語るまでも無く、原理原則からしたら当然なんですが笑)以上からタイトルの結論を述べますと。


アウターとインナーで同一ギヤ比を使う場合は
アウターロー側はパワー損失が大きいが、それ以外だったら大きな差はない。

ということにします。



各種ネガを度外視し、摺動抵抗にだけフォーカスすればチェーンは長ければ長い程良い(テンションは低ければ低い程良い)ということが言えそうです。


ですので、冒頭のビッグプーリーポン付けで抵抗が増えたのはチェーンテンションの影響が大いにありそう(というかそうであってほしい)。スプリングテンション設定も1Lと2Hで2Hの高めを選択してましたし・・・


追記
ビッグプーリーのは結局、測定ミスでした(笑)




チェーンの新調は必須ですね・・・(duraでもいいけど、X11SLだよなぁ)

コメント

  1. な★つ より:

    毎度通りすがりの な★つ です。

    この件は,大昔にシマノの方とアメリカの方が共同研究した論文があって,
    機構・構造が多段化してロー側にCSが伸びている以外に変化がないからか,
    いろんな人が試してる結果と大差ないあたり,スゴさを感じています。

    お察しの通り,ギヤ比と出力が同じなら,損失はだいたい同じ。
    ただ,チェーンライン……アウター側には伸びていないけど,
    インナー側には伸びていて,アウター&ローでのチェーンの曲がりや,
    ギヤ板との摩擦は増えていることから(摩耗で確認できますよね)
    今回の結果の通り「CSの中央付近なら」という条件付きになるかと。

    あと,論文を読んで興味深かったのは「高トルクの方が低損失」ということ。
    確かに,チェーンの屈曲摩擦は「動摩擦」なので,納得できます。
    そして,高トルクってことは低回転になるので,チェーンの屈曲回数も減り,
    より摩擦が減る方向になるように思えてきます。
    このあたり,チェーンの伸びとも関係してきそうで,興味はありますが……。

    とゆーことで,身体的に毎分80~85回転あたりが最高効率らしいので,
    TTスペシャリストが意外と上るっての……デュムランやガンナとか……
    自然なことのようです。

    #論文は「チェーン 伝達効率」で検索すると出てくるハズです。
    ##これ,仕事でまんまのキーワードで検索した時に見つけたネタです。

    • 酢 より:

      こんにちは。
      該当の論文かはわかりませんが、いくつかチラ見して見ました!
      難しいですが、基本的にはトライボロジーの世界のお話ですね。
      摩擦が損失の原因なら、チェーンオイル等の性能も大事っぽいですね。
      また、何か面白い論文があれば教えてください^^

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