アルカリ洗浄が最強のチェーン洗浄方法なのか?

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チェーンが綺麗か否かでスピードが変わるなら、チェーンはいつも綺麗にしておきたいもの。であれば

初心者
初心者

一番綺麗になるチェーン洗浄ってなに?

となる方もいらっしゃると思います。チェーン洗浄には各種洗浄剤が用いられていることと思われますが、最強の洗浄方法とは一体どんなものなのでしょうか。

この記事では工業的な洗浄の観点から、作業性や環境への影響を考慮した上で最もよく汚れが落ちるであろう洗浄方法を考えてみますので参考にしていただけると思います。結論から先に言えばチェーンを取り外してアルカリ洗浄が良さそうです。

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チェーンの汚れとは何か?

そもそもチェーンの汚れとは何なのでしょうか。大きく分けて3つに分けられると思います。

  • チェーンルブ由来の汚れ
  • 走行中の外的要因(砂、泥、汗、etc)他
  • 摺動による摩耗粉

これらが複合されたドロドロがチェーンの汚れと考えられます。

色々な汚れの集合体


基本的には油脂成分に微粒子が混合されたものと考えれば良いでしょう。

砂等の固形物は洗い流せば除去できるので、油脂成分を効率的に除去することが重要になります。油脂成分の除去性がチェーンの洗浄性に直結します。

4大チェーン洗浄手法

チェーンの洗浄手法としては大別して以下の4パターンがあると思います。

  • チェーンクリーナーで拭き取り
  • チェーンディグリーザー塗布&水洗い
  • チェーン洗浄機
  • チェーンを取り外し&洗浄

それぞれについて考えてみます。

チェーンクリーナで拭き取り

まずチェーンクリーナーでの拭き取りです。当て布をしてチェーンにパーツクリーナーを塗布してゴシゴシする感じです。

汚れが軽ければこれで十分な場合もありますが、ひどい汚れには洗浄力が足りません。ということで手軽さはありますが。最強ではなさそうです。

チェーンディグリーザー塗布&水洗い

この方法は洗車の時に併せてやることが多いのではないでしょうか。自分はそうです。

この記事ではマジックリンを使っていますが・・・

プロの洗車の場でも用いられている手法なので、信頼性はあるのではないでしょうか。

プロメカニックが本気でロードバイクを洗車した結果…
この洗車に憧れた部分はあります。

ただ、何が問題かと言えば「大規模」であることです。集合住宅ではこのような洗車は難しいのではないでしょうか?水が使えるスペースが必要ですし手軽さは皆無です。車体も綺麗にできますが、実施できる環境がかなり限られるので最強とは言えなさそうです。

チェーン洗浄機

洗浄液が充填された専用の器具を取り付け、チェーンをグルグルすることで洗浄する方法です。

チェーンのみにフォーカスした洗浄手法ですので、洗浄力は高め。ただ、ブラシも定点しか当たりませんし、後述の手法に比べると洗浄力は一歩劣ります(自動車の洗車機みたいなもの)。ですがコネクトピンタイプのチェーンを使っている方はこの手法が良さそうです。

チェーンを取り外して洗浄

その名の通り、チェーンを取り外して個別で洗浄する手法です。クイックリンク(ミッシングリンク)の使用が前提とはなりますが、洗浄液への漬け込みや、ブラシでの洗浄も可能なため細かい箇所の洗浄も可能です。

ディグリーザーへの漬け込み

チェーンを取り外すことから、車体やタイヤへの影響を考慮しなくても良いのもメリットです。先述の通り、クイックリンクの使用が前提となるところがデメリットですが、現在はその仕様が一般的ではないでしょうか。そのため、本手法を最強の洗浄手法とすることにします

3大チェーン洗浄剤

チェーンを取り外して洗浄するというのは感覚的にも最も綺麗にできそうと思うはずです。では、使用する洗浄剤はどのようなものが最適なのでしょうか。チェーンを取り外して洗浄する場合、洗浄剤は以下の3種がメインどころかと思います。

  • 灯油
  • チェーンディグリーザー(溶剤系)
  • チェーンディグリーザー(水系)

それぞれについて記載していきます。

灯油

いにしえの洗浄方法の灯油です。灯油に漬け込み&ゴシゴシという洗浄方法です。灯油ストーブユーザーなら問題ないと思いますが、そうでない場合灯油の入手が面倒かと思います。ライターオイルでも良いですが・・・

この洗浄方法はチェーンの汚れ、特にオイル成分を溶かして除去する方法になります。欠点としては汚れが薄まるだけで、極端なことを言えば完全な除去には至れないということです。(本当に極端ですが、米の研ぎ汁がなかなか透明にならないのと近いです)

また、使用後溶液の処理が面倒という点も忘れてはいけません。

チェーンディグリーザー(溶剤系)

こちらも灯油より高沸点な溶媒に界面活性剤が添加されているくらいなので、ほぼ灯油と変わりません。

専用品は専用品

専用品なだけあって、洗浄力は抜群ですが完全に綺麗にしようと思ったら、何回か液を入れ替えないといけません。(といっても2〜3回で良いはずですが)

工業的には塩素系溶剤を使う場合もあります。常温でも十分な洗浄性が出ますので最強クラスと考えられますが、一般家庭には強力すぎるでしょう。廃液の処理も難しく、環境への影響も大きいということで禁止カード扱いとして最強からは除外しておきます・・・


チェーンディグリーザー(水系)

環境に優しい(低VOC)であること意外、先述のディグリーザーの下位互換です。基本的に界面活性剤と水が入っているだけなので、洗浄力は劣ります。

もう少し進化が欲しいなぁといったところです。

ざっと洗浄剤を見てみると、結局溶剤系が最強っぽいですが、工業的に最も用いられている脱脂洗浄方法を忘れてはいけません。

アルカリ洗浄の提案

工業的に2番手の洗浄手法となるのがアルカリ洗浄です。ですのでチェーンの洗浄手法としてもアルカリ洗浄は最強クラスとなるでしょう。ですが、アルカリ洗浄をチェーンに適用しても良いのでしょうか?

チェーンにアルカリはOKなのか?

チェーンにアルカリ洗浄はNGとされる主な要因は水素脆化とされていますが、正直?です。なぜなら工業的にはアルカリ洗浄で脱水素処理をするからです。ですので、適切な処理を行えば問題ないと言えます。

では何故NGとされているのでしょうか?アルカリ性で水素脆化はおきませんが、似たような脆化が起こることをアルカリ脆化と言っています。また、このアルカリ脆化で割れたとされる和泉チェーンのブログがNGの根拠とされています。

また、メカニズムとしてはアルカリ成分(おそらく水酸化ナトリウム)がチェーンに残存、潤滑油成分を分解したため摩擦が増大、発熱し水酸化ナトリウムが濃縮、脆化が発生というプロセスが提唱されています。

ただ、ただ発熱により水分は揮発すると考えられますし、疑問が残るのも事実です。脆化は溶液中で発生するからです。ただ、これが事実だとしても十分に水洗すれば問題ありません。(この十分な水洗が難しいのでアルカリ性がNGとされている部分もありそうです)


十分な水洗を定義することは難しいですが、4〜5回水を入れ替えて洗浄し、5回目はお湯にする等すれば十分でしょう。お湯を使うのは洗浄性を高める(濡れ性向上)ためと、乾燥を早めるためです。

アルカリ洗浄のメリット

アルカリ洗浄に問題はないとわかりましたが、問題がないだけでなくメリットもあります

高い洗浄効果

アルカリ洗浄で油脂を除去するメカニズムは大きく分けて2つです。一つは乳化、もう一つは鹸化です。乳化は含有する界面活性剤やアルカリ成分が油脂をチェーンから引き剥がし、ミセルを作ることです。要は油を水に分散させることです。

キングラン東海H Pより引用

鹸化は植物・動物油脂(エステル)と反応し、石鹸を作ることです。

アルカリ洗浄は加温が必要なものの、動物・植物性油脂、鉱物系油脂の両方に効果が見込めます

表面の活性化

活性化というとめっきの工程で酸性溶液に浸漬することをイメージされるかもしれませんが、アルカリ洗浄により材料表面の濡れ性が向上します。この何が良いかという話ですが、後に使用するオイルがチェーンに馴染みやすいということです。

チェーンオイル自体、浸透性が非常に高いものなので、体感できる差は無いと思いますが。材料上そのような効果が期待できます。


以上からアルカリ洗浄が洗浄性と手軽さのバランスが一番取れているのではないかと考えます。ただ、作業のやりやすさはその方の置かれている状況次第な点があるので、あくまで参考としていただければと思います。

チェーンディグリーザーの素を使ってみる

私はこれまで水系洗浄をする場合はマジックリンを使用していました。

マジックリンでも大丈夫!!アルカリ脆化とかほとんど気にしなくてOKです。

正直、この手法でもそこそこきれいになりますが、チェーン用アルカリ脱脂剤の専用品を紹介してもらったため、使用してみることにします。

GOTALという新規メーカーが製造しているチェーンディグリーザーの素という製品です。チェーンディグリーザーと言えば液体をイメージしますが、この製品は粉末でお湯に溶かして使用するとのことです。


アルカリ成分としてはマジックリンがモノエタノールアミンであるのに対し、こちらは珪酸塩と炭酸塩でアルカリとしては強めです。その他、界面活性剤等が添加されているようです。早速使ってみます。

使用方法

チェーンディグリーザーの素

タッパー等にスプーン一杯の洗浄剤を入れ、そこに熱湯250mlを投入します。そこにチェーンをつけ込み、振り洗いすればOKです。振り洗いの前に2分ほど静置するのが良いとのことです。私は家庭の事情から直接チェーンに振り掛け、すぐにお湯を投入する方法を取りました。

ちょっと横着しました。チェーンはかなり汚れています。

スプーンいっぱいの洗浄剤を投入、すぐさまお湯を

投入直後はまだそこまで濁っていません。

そして2分ほど放置した結果がこちら!かなり汚れが浮いてきています。

だいぶと汚れが浮いてきました。

振り洗いが終わったら、水を何回か入れ替えれながら洗浄します。その結果がこちら!

かなり綺麗!

かなり綺麗になりましたが、溝等には落ちきれなかった汚れが残っています。これは振り洗いの限界かなと。ただ、残った汚れは乳化・鹸化されているのかブラシで簡単に落とせました。これはこの洗浄方法のメリットな気がします。最後にお湯で流し、乾かした結果がこちら!

2分つけ置き+振り洗い1分+軽いブラシがけでこの結果!

この作業内容でこの洗浄効果はなかなかなんじゃないでしょうか。わりかし簡単にこの効果が得られればかなりコスパが良いと考えます。

最後に

洗浄性にこだわればアルカリ洗浄かと思いますが、手軽さも大事かと思います。そういう方には水無し洗浄を頻度を上げてやれるのがベターなのかもしれません。ただ、徹底的にチェーンを洗浄しようと思ったらチェーンディグリーザーの素は良い選択肢かと思います。

旅先でのチェーン洗浄も全然いけそうなレベルです。

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